チョコレートの歴史ものがたり-4

チョコレートの四大発明

歴史の舞台が、南から北へ 

 18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパは、18世紀後半に起こったフランス革命とイギリスの産業革命によって、貴族と教会が主役の時代から、資本主義経済を後ろ盾に市民が台頭する時代へと大きく変貌を遂げました。その時代のうねりに呼応して、王侯貴族と教会のものだったチョコレートも、市民が簡単に口にすることができるチョコレートへと変わっていきます。お抱えのチョコレート職人や召使いが個別のレシピで作るものだったのが、大工場で大量生産されるものになったのです。
 チョコレートにも技術革新の波が押し寄せたことで、約200年もの間、チョコレートの歴史の主役だったスペインなどの南ヨーロッパは、その波に乗ることができずに舞台から姿を消します。代わりに登場するのが、北ヨーロッパを中心としたプロテスタントの国々です。チョコレートの歴史も、新たな扉を開くときがやってきたのです。

 スペインのバルセロナやイタリアのジェノバには、20世紀になってからも、メターテ(平たい石臼)でカカオを挽き、昔ながらの製法で作る小さなチョコレート工房が残っていたとか。歴史からぽっかり忘れられたような光景。もし今も残っていたら、ぜひ、この目で見てみたいものです。

ココアパウダーの発明 〜四大発明その1〜

 チョコレートの新たな歴史がスタートしたとはいえ、肝心な技術はアステカ時代と大差なく、ざらざらとした口当たりの悪さはそのままでした(そんなマズそうなチョコがなぜ人々を魅了できたのか、はっきり言って不思議です)。
 そして1828年。チョコレートの味わいを一変させる発明をしたのが、オランダの化学者、C・J・ヴァン・ホーテンでした。おや、どこかで聞いたことのある名前ですね。そうそう、ココアの代名詞ともいえるヴァン・ホーテン社の創始者です。
 C・J・ヴァン・ホーテンは、カカオ豆の脂肪分(カカオバター)の約3分の2を搾り取る機械を開発。これによって、脂肪分が表面に浮いて飲みにくく消化の悪い飲み物だったチョコレートが一変したのです。 さらに、出来上がった細かい粉末に、ダッチングと呼ばれるアルカリ処理を加えることで、水に溶けやすく風味の良いココアを作り出すことに成功。粉末を溶かせば、誰でも簡単にチョコレートが作れるようになりました。この発明をベースに、チョコレートはさまざまな改良が加えられるようになり、味や形態が飛躍的に変化していくことになります。

食べるチョコレート、板チョコの始まり 〜四大発明その2〜

 次の発明の舞台はイギリスです。1847年、J.S.フライ・アンド・サンズ社が、砂糖入りココアの粉末を溶かしたカカオバターと混ぜることに成功。この新しい技術によって、型に流して固め、成型できるようになりました。それまでのチョコレートは、砕けやすく、とても成型できるようなものではなかったのです。
 J.S.フライ・アンド・サンズ社は、2年後の1849年に、その名も『おいしい食べるチョコレート(ショコラ・デリシュー・ア・マンジュ)』という板チョコを発売。これが現在の板チョコのはじまりです。フランス語の名前にしたところがおもしろいですよね。それにしても、わざわざ『おいしい』と銘打つくらいですから、画期的な味の変化だったのでしょう。それまではどんな味だったのやら。

 
アルプスのペーターとミルクチョコ 〜四大発明その3〜

 3つめの発明はスイスが舞台です。スイスといえばアルプス。アルプスといえば、アルプスの少女ハイジ。そしてハイジといえば、ペーターですね。
 と少々強引ながら、今回の主役の名前はペーター。そのペーター(ダニエル・ペーター)によって生み出されたのが、板チョコ状のミルクチョコレートです。1876年のことでした。ミルクを加えることによって、まろやかな味のチョコレートが市場に現れたのです。ミルク大国スイスらしい発明ですよね。
 ペーターの発明に欠かせなかったのが、粉ミルク。これを開発したのが、同じくスイス人のアンリ・ネスレで、1867年頃のことでした。アンリ・ネスレは、今や世界的企業となったネスレ社の創業者です。

 
なめらかな舌触りの誕生 〜四大発明その4〜

 4つめの発明もスイスです。ペーターがミルクチョコレートを発明したのと同じ頃、スイス人のルドルフ・リント(ロドルフ・リンツ)により、「コンチング法」という技術が開発されました。このコンチングをチョコレート製造の工程も取り入れることで、なめらかな舌触りが実現したのです。今ではチョコレートといえば、口の中でとろけるのが当たり前ですが、それまでのチョコレートといえば、粒子が粗くザラザラしていたんですね。わたしたちが今、口にしているチョコレートは、ようやくこの頃になって完成しました。
 そして、ペーターによるミルクチョコレートの発明と、リントによるコンチング法の開発は、スイスを世界一のチョコレート大国へと押し上げました。それ以降、チョコレートいえばスイスという時代が長く続いたのです。

チョコレートの歴史-5 へ
PAGE TOP

CONTENTS
Home
Note
  • Note'06
  • Note'07
  • Note'08
  • Note'09
  • Blog
  • Menu
  • ボンボン・ショコラ
  • 板チョコレート
  • ショコラ・ショー
  • チョコレート・スイーツ
  • Space
  • ショコラトリーのサロン
  • ショコラバー
  • ホテルのバー
  • Gift
  • チョコレートを贈る日
  • 愛を届けるチョコレート
  • ごほうびチョコレート
  • 遊び心のチョコレート
  • Shop List
  • Shop Index
  • 銀座(10)
  • 丸の内・日本橋(9)
  • 表参道・青山(9)
  • 新宿(3)
  • 六本木・神谷町(3)
  • 白金台・恵比寿・代官山(1)
  • About Chocolate
  • カカオの豆知識
  • 美味しさの秘密
  • 栄養とダイエット
  • History
  • むかしむかし、チョコレートは飲み物だった
  • スペイン人、チョコレートに出会う
  • チョコレート、ヨーロッパへ渡る
  • チョコレートの四大発明
  • チョコレート、日本へ
  • Gallery
  • ショコラ・ショー競演
  • チョコレートアイスクリーム競演
  • ショコラトリーのクリスマス
  • サロン・ド・ショコラ 2007
  • サロン・デュ・ショコラ 2008
  • サロン・デュ・ショコラ 2009
  • Cinema
    Book
    Travel
    Reference
    Link
  • メーカーや協会のサイト
  • チョコレートを愛する人たちのサイト
  • 世界のチョコレート情報サイト
  • チョコレートを作るときのお役立ちサイト
  • スイーツを愛する人たちのサイト
  • FoodとDrink関連の情報サイト
  • 旅とエリアについての情報サイト
  • LIFE STYLE お役立ち情報サイト
  • Profile