ショコラ・ショーとは、かつてチョコレートが飲み物だった頃の姿を残したメニューで、温かいチョコレートドリンクのこと。ショコラトリーのカフェメニューには、ホットの他に、冷たいショコラ・ショーを見かけることも。
→【ギャラリー/ショコラ・ショー競演】の項も参照
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銀座の『ミッシェル・ショーダン』や代々木公園の『ミュゼ ドゥ ショコラ テオブロマ』でショコラ・ショーを注文すると、19世紀半ばまで使われていたショコラティエールという専用ポットが出てきます。泡立てるためのモリニーニョという攪拌棒が蓋から突き出た姿は、ちょっぴり不格好。その素朴なショコラティエールを見ていると、わたしたちが知らないチョコレートの歴史が少し顔を出す。
現在のメキシコあたりで始まったチョコレートの歴史は、4000年にも及ぶ長いもの。けれど、現在のような食べるチョコレートの歴史は、160年ほどでしかない。マヤやアステカといった中米の古代文明からヨーロッパの宮廷文化へと舞台を替えつつ、19世紀の半ばまで、チョコレートは飲み物として珍重されてきました。その後、チョコレートの主役は飲み物から食べ物へと移り、ショコラ・ショーは、かつての王侯貴族に代わって庶民に愛される飲み物になることで、今日まで伝わってきたのです。19世紀以降、チョコレートの製造技術が格段にアップしたので、現在のショコラ・ショーは、王侯貴族たちが飲んでいたものよりも格段に美味しい(比べてみたことはないけれど)。→【History】の項を参照
ショコラ・ショーを飲むときは、ちょっぴり優雅に振る舞いましょ。かつては王侯貴族の飲み物だったショコラ・ショーに、せかせかした気分は似合わない。一口ひとくち、大切な時間を愛おしむように飲みたい。ひとりの時間も、ふたりの時間も、幸せが倍になるような気がするから。
ショコラ・ショーの愉しみは、芳醇なチョコレートの香りに包まれるひととき。濃厚な、このショコラ・ショーをすすっていると、不思議と気持ちが安らいで、とても豊かな気持ちになる。きっと、チョコレートには不思議な力があるのでしょう。いにしえの人々は、このチョコレートの飲み物に、神の加護を求め、活力の源や健康を求め、愛を求めた。現代のわたしたちも、ショコラ・ショーに願掛けをしてみましょうか。
チョコレートドリンクというと、「ああ、ココアね」と早合点する人がいるかもしれないけれど、いわゆる子ども向けのココアとは、同じようでいて、大きく違う。ここでいう大人が愉しむショコラ・ショーは、甘みを抑えた、カカオ含有量の高い板チョコ(クヴェルチュール)をそのまま刻み、それをミルクで溶かして飲む。対する粉末のココアは、カカオ豆からカカオバターを取り除いて作られるもの。このカカオバターこそがコクや風味の元なので、チョコレート本来の風味とはかけ離れてしまうのです。ひとくち飲んでみれば、違いがわかります。「ココアを飲んでいる」のと「チョコレートを飲んでいる」の違いが。ぜひ一度、お試しあれ。
→【ギャラリー/ショコラ・ショー競演】の項も参照
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