ボンボン・ショコラとは、繊細で、美しい、ひとくちサイズのチョコレート。ショーケースをのぞくと、一つひとつがまるでジュエリーのように鎮座しています。チョコレートの艶やかな輝き、さまざまな色合いの妙、凝縮されたデザインの美…。見ているだけで幸せな気分になります。
ボンボン・ショコラの「ボンボン」は、フランス語の「bon=おいしい。英語で言うところのgood!」をリズミカルに重ねたもの。名前からしてすでに愛嬌があって、笑顔を呼び寄せる力があります。厳密には、フランス語だと「ボンボン・オ・ショコラ」というのかな。英語で「チョコレート・ボンボン」、ドイツやスイス、ベルギーでは「プラリネ」と呼ばれています。
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ボンボン・ショコラの愉しみは、口に含んだとき、表面を包むチョコレートとは別のテイストが現れること。しかも、嚼んでみないと中の味がわからない! ボンボン・ショコラが私たちを惹きつけるのは、デザイン的な美しさはもちろんのこと、この“未知の愉しみ”があるからだと思う。「人生はチョコレートの箱のよう。食べてみなけりゃ中身はわからない」──これは、映画『フォレスト・ガンプ』の有名な台詞です。人生をボンボン・ショコラに例えるなんて、素敵な発想ですね。
ボンボン・ショコラの中身(センター)で代表的なのが、ガナッシュ、プラリネ、マジパン。中でも一番登場回数が多いのがガナッシュです。ガナッシュは、沸騰した生クリームに刻んだチョコレートを溶かして泡立てたもので、口溶けがとても良いのが特徴。トリュフもこのガナッシュで作られる。プラリネは、ローストしたアーモンドやヘーゼルナッツとキャラメルと混ぜ、細かく砕いてペースト状にしたもので、チョコレートを混ぜ合わせることもある。フランスやイタリアでは、このプラリネを使ったものが人気が高いとか。ドイツなどでは、ボンボン・ショコラそのものを「プラリネ」と呼ぶので、ややこしい。マジパンは、ローストしていないアーモンドに砂糖を加えてすり潰し、ペースト状にしたもの。ねっとりしてるので、実をいうと、私は少々苦手にしているんですが。
ちなみに、ガナッシュは「間抜け!」という意味。なぜそんな名前がつけられたかというと、ある見習いパティシエがチョコレートの鍋にミルクをひっくり返す大失態を演じたことから、このガナッシュが生まれたから。親方が思わず「この間抜け!」と怒鳴った失敗チョコレート。が、仕方なくその鍋を混ぜていたところ、なめらかな口当たりのペーストが出来上がったというわけ。それにしても、その見習いパティシエの名前ではなく、「間抜け!」の方が名前として残ってしまうところが、おもしろい。
センターに何を使うか、何をどう混ぜるか、どのカカオと組み合わせるかによって、幾通りものバリエーションが生まれるボンボン・ショコラ。ショコラトリーに並ぶたくさんのショコラは、それぞれのショコラティエが工夫に工夫を重ね、一つひとつ手作業で作り上げた芸術品。このセンターはガナッシュかな?プラリネかな?とまずは想像し、そして舌で確かめながら、味のハーモニーを愉しみましょう。
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